●TRINITYの音(ACCESS)
そう、TRINITYといえばKORGの新開発音源ACCESSとMOSS。まあ、MOSSは1音しかでないし、オマケみたいなもので(?)まずはメインと思われるACCESSについて書きたいと思います。これまでのAIスクウェアシンセシスシステムの音と比べると、明らかに音質が上がっているのがわかります。とにかく音がクリアで、ハイファイ、ダイナミクス感も十分で、太い音が出てくれます。まあ、今時のシンセとは思えないくらい高額ですから、これくらいの音はしてくれないと困りますが(^^;
ただ、音のキャラクター(しっかりしたアタック感など)は変わっていないので、AIスクウェアシンセシスをそのまま高音質化したような印象です。また、ちょっとダイナミクスにすでに加工された感があって、これはTRINITY一台で作ろうとする場合にはいいと思いますが、後から加工したいと思うとちょっと迷惑かも知れません。
個々の音色を見ると、大体どんな音色も片寄り無く入っているという感じで(昔はピアノやストリングスのみに力が入っていて、バイオリンや管楽器などの音色は本当に手抜きのシンセも多かった)、それぞれの生楽器の奏者が聞いてもある程度納得できるレベルに達しているのではないかと思います。ただ、その分生ピアノは一種類しか入っていなかったりするので、このあたりに不満を感じる人もいるかもしれません(この場合は専用音源を拡張するべきでしょう)。
さて、その音色数は、今時少な目の256種類、しかもプリセット無しのオールRAM。このあたりはかなり意見が分かれるところかと思いますが(プリセットがあるという安心感も時には重要です)、KORGのポリシーとでも思っておくことにしましょう(^^; それでも、TRINITYは多くのコントローラー(ピッチベンド&モジュレーションのスティック、リボンコントローラー、スイッチ×2)を装備しているため、一つの音色からかなりの音色バリエーションが得られたりします。
最後に、同時発音数について。TRINITYは今時珍しい32音と、これだけ聞くと随分少なく感じます。しかし、RolandのJVシリーズ等と違い、1音色で最大2ボイスしか使わないため、ほとんどの音色が4ボイスであるJV-2080と比べても大体同等の発音数が得られます。ただ、それでもやはり今更32音は少ないというのが正直なところ。TRINITYのように一台ですべてをやろうというコンセプトならなおさらです。TRINITYの同時発音数が64音あれば(欲を言えば、実売価格があと5万円低ければ・・・無理だろうけど)時代は変わっていたのではないかと思うだけに、残念です。
●TRINITYの音(MOSS)
さて、Z1が出てすっかり影の薄くなったTRINITY、Prophecyの単音MOSSですが(^^; これはもうおなじみといった感じで、ちょっと表現力のアップしたPCMのような感じで使えます。そう言えば、Prophecyの中古が何台も49800円で出てました。Z1が出て下がるとは思ったものの、これほどまでとは!ちょっとびっくりです。それだけZ1の魅力があるということでしょう。ただ、Z1は、PCM時代でいうM1のような存在であると思われるので、僕はもう少し待ちたいと思います。そのうち同時発音数32音、16マルチティンバーまで上げてくると思うので(^^;
●エフェクター
TRINITYカタログを見ていて目に付くのがインサーション8系統、マスター2系統のエフェクトです。昔からKORGはエフェクターを積極的に音作りの要素として取り入れていますが、TRINITYの音を聞くと、その威力がいかに大きいものかが分かります。特にインサーションエフェクトは強力で、100種類用意されたエフェクトのなかには、ステレオ13バンドグラフィックイコライザや、マルチバンドリミッターなど、シンセ内臓のエフェクトとしては信じ難いレベルのものまで入っています(ただし、これら複雑なエフェクトは8つ同時に使うことはできない)。
●シーケンサー
今やシーケンサーはパソコン上で動かすのが当然の時代で、今更シンセ内臓のシーケンサーを使うこともないように感じるかもしれません。実際、こんなシーケンサーもういりません(笑)。それはもう、確かに使いやすいのですが(そもそもSequence Studio Liteというのはこの使いやすさを目指して作ったものである)、さすがに今日のパソコンのシーケンサーと比べると機能的に不満が多すぎます。まあ、それでもシーケンサーを付けてくるというのは、オールインワンシンセ、一台ですべてを完結することを考えているからに他ならないでしょう。
ただ、小さいライブなどで、打ち込みをやる場合、パソコンを運ぶのも大変ですから、そういう場面では重宝するのではないかと思います。80000ノート、分解能も192と、ほとんどの場合はこれで事足りるでしょう。また、ハードディスクレコーディングオプションを装着する場合、内臓シーケンサーはさらに威力を発揮することになります。MIDIとの完全同期はもちろん、TRINITY単体ですべてをコントロールできる点は、現在のシーケンスソフトの目指しているところでもあります。ただ、このハードディスクレコーディングオプションも4トラックと、現在の感覚で考えると随分少なく感じます。まあ、もう発売から1年半以上経過していますから仕方がないのかもしれませんが、どうもこの部分だけは中途半端な感じがします。
●その他
他のシンセにないのがこの巨大なLCDですね(^^; お店で見ているぶんには何とも思わなかったのですが、いざ使ってみるとそのインパクトはかなりのものです。僕はシンセの上にパソコンのキーボードを置いているので、普段はキーボードでディスプレイを隠しているのですが、これほどのディスプレイだと見ないともったいないような気もします(^^; このディスプレイもただデカイだけでなく、タッチセンサーディスプレイで(ただ、ちょっと慣れが必要。最初は反応が悪いんじゃないかとか思った)、チェックボックス、ラジオボタンなど、ほとんどMac(それは言い過ぎか)。かかっているエフェクター、コントロールのアサインなどを見ながら音色を選択できたり、その便利さはなかなかのものです。
ただ、よく言われていることですが、TRINITYのディスプレイは表示が遅い!実際、リドローの度に待たされているという感じがします。ただ、数回に及ぶバージョンアップの結果、できるだけリドローを行わなくて済むようなシステムになってはいるようで、なんとか実用上問題のレベルにはなっている(?)と言えるのかもしれません。あと、バックライトが明るすぎるのも気になります。真っ暗なステージでひときわ目立ちそう(^^; ぱらっとマニュアル見た限りでは調節できなさそうだし、どうしたものか・・・(当然コントラストは調節できるんですけど)。
次、キーボード。TRINITYのキーボードはかなり軽めで、これも好みが分かれるところかと思います。ただ、今まで超安っぽいX2のキーボードを触っていた僕にしてみれば、随分よくなったように感じます(当然か)。先に書いたように、コントローラーが多いのもいいですね(Z1にはとてもかなわないが)。またTRINITYは、その機能以上に見た目のインパクトにも引き付けられるものがあり、実際今回僕がTRINITYを買う決め手になったのもそこなわけで(^^; これに対抗できるのはYAMAHAのVP-1くらいのものでしょう(ただ、あれは高すぎる上に中古が出回っていないので手が出ない)。
●まとめ?
というわけで、TRINITYのレポートでした。ちょっと高かったけどまあ許してやるか、くらいの機能ですね。RolandのJVシリーズに見られるような、完成された(進化しきった)PCMの世界というのを感じることができます。これからはいよいよ本格的にモデリングシンセ時代へと突入するということでしょう(でも、こういう中途半端な時期にこそ面白いものがでてきたりして)。それと、やはりKORGはシンセ界のホンダだった(^^;。このままトヨタなRolandとうまく共存してくれれば未来も明るいですね(笑)。