MSSニュース#37


 相変わらずの多忙続きで(寄せられる質問メールにもなかなか答えることができず、ご迷惑をおかけしていますm(_ _)m)半年ぶりくらい(?)のβ版アップです。今回は特にMSSをメインに使ったレコーディング、ミキシング、マスタリングなどを想定したオーディオの高音質化を行っています。

192kHz、24bit対応!
 最初は96kHz、24bitまでにしておこうと思っていたのですが、DVD-Audioが192kHz、24bitまでと聞き、この際192kHz、24bitにまで対応してしまおう、ということで対応してしまいました。もっとも、192kHz、24bitの入出力が可能なハードウェアなんて知りませんが(^^;。

 周波数、bit数はオーディオレコーディング時に選択することができます。bit数は16bit、24bitを混在させることができるので、高音質が必要な音にのみ24bitレコーディングを行うような使い方も可能です。出力のbit数は、オーディオ環境の設定から、16bit、24bitが選択できます(ただし、デバイス毎に異なるbit数を選択することはできません)。

 その他、エフェクト、マスター、バスのレコーディングなども全ての周波数、bit数でこれまで通り使用することができます。24bitのデータを16bitで出力する場合は、オーディオ環境の設定でディザリングをチェックしておくと16bit以上の情報を出力できますので、CD用の16bitデータを製作する際も、24bitでレコーディングすることで格段に音質が増します。
 もちろん、すべての周波数、bit数でWavファイルのインポート、エクスポートが可能です。

内部演算32bit(24E8)化!
 これまでMSSはほとんどの演算(ミキシング、エフェクト処理など)を32bitの整数演算で行ってきました。これは、整数演算ならMMX PentiumクラスのCPUでもそこそこの速度が出るからです。しかし、32bitの整数演算ではうまく作っても24bitの解像度しか得ることができません。24bitというと十分に思えるかもしれませんが、フィルター系、ダイナミクス系のエフェクトでは、24bit以上の解像度が求められるため、明らかな音質劣化の原因になっていました。また、今回から対応した24bitファイルの十分な音質での加工、再生は、整数演算ではもはや不可能であると言えます。

 そこで、今回は思い切ってほとんどすべての演算を32bit単精度浮動小数点(24E8)に書き換えました(ミックスやエフェクトのプログラムほとんど書きなおし…(T_T))。浮動小数点数では整数と違い、常に24bit分の有効桁数を確保できるため、整数演算と比べるとほとんど解像度を気にする必要がありません。

 内部演算32bit化に伴い、これまで音質が解像度の犠牲になっていた多くのエフェクターで、格段に音が良くなりました。特に、フィルター系、ダイナミクス系にはその差が顕著に表れます。マスタリングなどでいくつものエフェクトを直列に接続するような場合でも、エフェクトによる音質劣化はほとんどゼロになります。

 しかし、一部機種では速度が遅くなることも確かです。徹底的な効率化を行ってはいるのですが、具体的には、Socket7のすべてのCPUでパフォーマンスが落ちます。これは、これらのCPUの浮動小数点演算能力が整数演算能力よりも低いためです。逆に、整数演算能力よりも浮動小数点演算能力の方が高いCPU、つまりIntelのPentiumUやCeleronでは、より軽くなります。

 しかし、先ほど書いたようにエフェクトの音質は向上しています。これにより、少ないエフェクトでも満足のいく音を作ることが可能になりましたので、Socket7のCPUをお使いの方でも特に問題にはならないと考えています。というより、浮動小数点演算の音質を味わってしまうと、もう整数演算の音質には戻れなくなること間違い無しです。最近は市販HDRソフトも軒並み浮動小数点演算を使い始めているようですし…(^^;

トラックのイコライザが消え、インサーションエフェクトが5つに
 これまで各オーディオトラックには、Audio Studio Lite時代からの伝統だった(?)3Bandのパラメトリックイコライザを装備していたのですが、トラックにインサーションエフェクトを装備してからはほとんど使われなくなっていました。そこで、各マスター、バス、トラックのイコライザを消し、そのかわりインサーションエフェクトを5つに増やしました。

 これまでに作成したプロジェクトファイルを読みこんだ場合、これまでのイコライザがEFX1に、EFX1〜EFX4がEFX2〜EFX5に読みこまれます。これにより、これまで作成したプロジェクトとの上位互換性も保たれます。

 EFXが5つに増えたことでこれまで以上に自由な音作りが可能になったと思います。これまでインサーションエフェクトを4つ使いきって、あともう一つ使えたらなぁ〜とか思っていた人が結構いるのではないでしょうか?この一つ増えたインサーションエフェクトは、結構重要です(^^)。

その他、エフェクトアルゴリズムの改善
 まず、ステレオレベルマキシマイザーのアルゴリズムを改善しました。従来とくらべてさらに2dbほど稼げるようになったと思います。これでもう、レベル競争でプロのCDに負けることはないでしょう(^^;。

 他にも、浮動小数点演算化に伴い、いくつかのエフェクトはアルゴリズムをより高音質なものに書き換えました。例えば、イコライザなどのフィルター系や、モジュレーション系などです。イコライザは明らかに効きが良くなっていると思います。モジュレーション系は補間強化などにより、非常になめらかな音質になっています。

 エフェクトのパラメーターなどはそのままに高音質化を実現しましたので、これまでに作られたデータをそのまま最新バージョンに持ってくるだけで音質が向上します(ただし、ASFのバージョンが上がっているため、最新バージョンで保存したデータは旧バージョンでは読めなくなります。ご注意ください)。

オーディオスペクトルがより正確に
 前回のバージョンからついたオーディオスペクトルですが、僕の数学的知識の無さゆえに、子供騙しのようなものになっていました(^^;しかし、今回のオーディオスペクトルは正確です。実際に曲を再生してみれば、曲に合わせてスムーズにスペクトルが動くのを確かめることができると思います。マスタリング時には是非イコライジングの参考にしてください。

バッファサイズの調節が可能に
 これまで、オーディオ再生時のバッファは、8192サンプル×8の固定でした。このため、例えば再生中にボリュームを操作しても、実際のボリュームが変化するまでにはある程度のディレイがありました。そこで、オーディオ環境の設定から、バッファサイズを4096サンプルもしくは8192サンプル、バッファ数を4もしくは8に設定できるようにしました。4096サンプル×4の設定にすると、操作が反映されるまでのディレイはこれまでの1/4になり、それほどディレイを気にする必要はなくなります。

 ただし、バッファサイズを小さくしたり、少なくしたりすると、再生の安定性は下がります。このため、環境によっては音が途切れたり、レベルメーターなどの表示が乱れる可能性があります。このような場合は、システム環境の設定から、オーディオの更新間隔を10〜20ms程度まで縮めるか、優先度を高くしてください(HighestもしくはTimeCritical)。


 今回のβ版はこんなところです。次期正式版リリースまでにはまだまだバージョンアップの予定がありますので、どうぞご期待ください(まだまだオーディオ関係でパワーアップがあります!)。