オーディオブーム再来?#3<スーパーオーディオCD>


 このホームページを見ている人なら知っている人も多いと思いますが、ついにスーパーオーディオCD1号機が発売されました。2.8MHz、1bit、DSD方式という、これまでのCDとは大きく異なったフォーマットを持つこの次世代CDについて、今回はレビューしたいと思います。

●スーパーオーディオCD
 先日はじめてスーパーオーディオCDの音を聞いてきました!はっきりいって、素晴らしい音でした。DVDで96k24bitのソフトを聞いたりしているのですが、それと比べても次元の違う音です。192kHz24bitのDVD-Audioソフトでも、これだけの音は出ないのではと思わせるほどです。

 聞いた環境はそれほどハイエンドのものではなかったのですが、(SACDプレイヤーを含めてシステム合計150万円程度)、普通のCDのハイエンドシステム(システム合計1000万円程度)よりもはるかにいい音がしていました。音源の音質の重要性を改めて思い知らされた気がします。

 恐らくSACDの音を最高の状態で再生しようとすると、これまでのCD用に作られたコンポーネントよりもはるかに高性能なコンポーネントが要求されるでしょう。飽和しかけていたオーディオの世界が大きく広がるような気がして、なんとも嬉しい気持ちになります。

・SACDの音質
 さて、どのように音がいいかというと、もうありとあらゆる面でいいのですが(^^; 一言でまとめると情報量が多いことにつきると思います。それはもう、音が鳴り始めた瞬間スピーカーの向こうに音空間が現れるかのようです。CDを再生したときのような、いかにもスピーカーから音が出ている感じではなく、その場の音場がSACDから出てくる音に支配されているかのように感じられるほど、情報量が多いのです。

 今回はジャズを聞いたのですが、当然のことながら出てくる音はライブのそれとは全く異なります。しかし、音質だけに限定して言えば(ライブの盛りあがりなどを除いて)むしろライブよりもSACDで聴きたいとすら思いました。

 さすがにオーケストラの圧倒的なダイナミズムまで表現できるかどうかは疑問ですが、それすらも期待させるほどの音でした。ポップスも、現在のCDでは音がごちゃごちゃした独特の音作りになっていますが、SACDになって各音の分離が良くなってくれるのではないかと期待しています。

 こういった機器の音質を語る時、どうしてもまずスペックがとりあげられますが、SACDは100kHz以上の高音、120db以上のダイナミックレンジというスペックから想像する以上の音がします。

 時に次世代CDの音質を議論するとき、どうして可聴帯域を超える音を再生する必要があるのかと聞かれることがあります。これに対して、超高音が出ることで中低域も豊かになると答える人もいます。しかし、これらの意見は明らかに再生周波数帯域という考え方や理論に執着しすぎです。

 もっと単純に考えれば、次世代CDはCDに比べてより情報量が多いのです。解像度が上がれば、波形がより細かく記録されるわけですから、聴感上中低域もよく聞こえるのは当然です。可聴帯域を超える必要はありません。可聴帯域をより精密に記録するためのものであり、SACDの2.8MHz、1bitというフォーマットはその点でCDを大きく上回っています。

 是非一度SACDの音を聞いてみてください。CDとの差は誰にでも分かるレベルだと思います。実際、僕が店でSACDを視聴していると、多くの人が立ち止まって、そのかつて聞いたことのない音に聞き入っていました。さすがに、DVD-Audioとはレベルが違うというだけのことはあります。

 2チャンネルでこれほどの空間を再現するSACD…これでマルチチャンネルになったらどうなってしまうんでしょうか。早くマルチチャンネルSACDの音を聞いてみたい!

・SACDは普及するか?
 さて、どうしても出てくるのがSACDが普及するのかという話題ですが(^^; これはいまのところ厳しいと言えます。CDの音質に満足してしまっている人が多かったり、MP3などさらに低音質のフォーマットが普及してくるなど、世の中は高音質にまるで興味がない人ばかりです。

 DVD-Audioに関しては、DVD-Videoとのコンパチブル機がすぐに投入されると思いますので、AVファンから徐々に浸透すると思われます。しかし、SACD、DVDコンパチブル機がそうすぐに出てくるとは思えません。出てきたとしても、一部のメーカーからしかリリースされない可能性が大きいと思います。

 現在のCDのようにSACD搭載ミニコンポやポータブルSACDなどが出てくるようになると未来も明るいかもしれませんが、ネットワーク音楽配信が出始めた現在の状況ではそのような未来像は想像しがたいものがあります。

 ソフトの値段に関しても、1号機と同時にリリースされたタイトルは3500円とCDに比べて高めの設定です。現在はDSDでの音楽製作環境もそれほど充実していない状態ですから、制作費の影響でこの価格設定になっているのかもしれません。しかし、このような音楽ソフトの値段が高いというのはハードの購買意欲を激減させますので、この値段がずっと続くとなると一般家庭への普及は絶望的であると言えます。

 しかし、SACDの高音質は確かなものですから、ハイエンドオーディオの分野では間違い無く普及するでしょう。1号機は明らかにその分野を狙って発売されています。今後もSACDの音質に対抗するものが出てこないかぎり、現在のLD程度のマーケットは確保できると思います。

・SACD製作環境
 とりあえずMSSは当分DSDには対応しないでしょう(笑)。ボリューム一つとってもDSDはPCMとは大きく異なるアルゴリズムを必要とする上に、パソコンでやるには計算量が多すぎます。現在のパソコンを使っても、せいぜい4トラックにEQをかけられればいい方という世界です。

 そう考えると、フルデジタルのDSD製作環境を作るのは大変です。製作環境を作る側から見れば、これまで培ってきたアルゴリズムなどをそのまま利用できるPCM方式の方がずっと作りやすいわけです。パソコン上で手軽に快適にDSD編集ができるようになるのは、まだまだ先になると思われます。

 フルデジタルの製作環境が整わないと、クオリティーを重視するほどコストが大きく跳ね上がるアナログ製作環境を使うことになります。それでもアナログ製作環境でレコードを作れるアーティストはまだいいほうで、アナログリニアの製作環境では話にならない(切り貼りや複雑なエフェクト処理を必要とする)、特に売れ線系のアーティストはSACDを作れないことになります(フォーマットだけなら変換できるでしょうけど)。つまり、売れ線系のアーティストのCDがSACDで発売されることが非常に少なくなるわけで、これはSACD自体の普及に大きな影響を及ぼします。

・SACD欲しいぜ!
 何かまた普及の話に戻ってしまいましたが、僕はSACD、欲しいです!(何か毎回そんなことを書いている気がする(笑))。さすがに1号機の50万円という価格はそう簡単に手を出せるものではありませんので、とりあえずは2号機を待って、価格とクオリティーを検証です。2号機が安くても1号機との音質の差があまりにもあるようなら、1号機を買う方向でがんばります(笑)。というわけでみんなも買おう(笑)。