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SONY α350 レビュー

コンパクトデジカメの画質や撮影の幅に不満が出てくる→デジタル一眼レフが欲しくなるという、ものの見事にメーカーの販売戦略に乗せられた形でこのほどα350を購入しました。

キャノン、ニコンという2強がいる中であえてSONYのこのデジカメを選んだのは、これまで使っていたコンパクトデジカメがCybershotだったというのもありますが、何よりこれまでのコンパクトデジカメと同じ感覚で撮影でき、かつ高速なオートフォーカスを実現するという高性能なライブビューを搭載した唯一の機種だという理由からで、ほぼ迷うことなくこの機種に決定しました。
α350にはボディー、ズームレンズキット、高倍率ズームレンズキットのラインナップがありますが、私はこのうちレンズ交換なしに様々な撮影が楽しめそうな高倍率ズームレンズキットを選択しました。付属するレンズはAPS-C専用のDT 18-200mm F3.5-6.3 SAL18200で、35mm換算だと大体27~300mmになります。
高倍率ズームレンズというのは画質の点では不利なことが多いようですが、さすがに今まで使っていたコンパクトデジカメよりはずっと良くなるだろうと思うところがありました。それに加えてズームの範囲が大きくなることで撮影の幅が広がれば、十分デジタル一眼レフにする意味がある、と考えました。
また、できることならレンズは1本で済ませたいという思いがありました。それは、まずデジタル一眼レフならではのレンズ交換のわずらわしさや埃問題にはできるだけ関わりたくないという理由。そしてもう一つ、レンズ交換にははまりたくないという理由からです。
デジタル一眼レフはレンズを交換できるのが醍醐味の一つなんだろうとは思います。しかし個人的には、何かと時間が足りない現代で、いくらそこに楽しみがあるとはいえ、この先カメラのレンズについて考える時間など取られたくないという思いのほうが強くありました。カメラをどうしようかと考えるのは多くても1年に1回くらいにしたい。自分にとって”機材”について考えるような時間の余裕はそれほどないんです(もちろんそう思っているのは最初だけでまたメーカーの戦略に乗せられてしまうのかもしれませんが…。)
そんなわけで、手元にはα350高倍率ズームレンズキットが届きました。
これまでのコンパクトデジカメに置き換えて日常の撮影に使ってみた最初の感想としては、大げさになった割に画質もそれほど変わらないな…というものでした。
最も気になったのはサイズで、コンパクトデジカメではポケットやカバンで気軽に持ち歩けたものが、カバンに専用のスペースを確保してやらないと持ち歩けなくなりました。ちょっと子供と散歩に行くにも首からぶら下げていくことになり、この大げさな感じばかりは何とかならないかと切に思います。
次に大げさだと感じたのは、シャッター音。コンパクトデジカメはこれに比べればほとんど無音ですし、そもそも家庭に入ってくるハイテク機器の中で今時こんれほど先鋭でメカニカルな音を出す機器は他に無いわけで、PCや他の家電の中にあって非常にレトロに感じます。
しかし、これには割とすぐに慣れることができました。今ではこの音があるほうが撮った気がするだろうと言われれば、そういう捉え方もあるだろうと思えますし、PCのノイズなどと違って一瞬の音なので、それほど不快でないというのもあるかもしれません。
一方であまり気にならなかったのは重さ。高倍率ズームレンズキットの場合、レンズを含めた重さは約1kgと、最近の軽量ノートパソコン並です。確かにα350を持った後にコンパクトデジカメを持つとあまりの軽さにびっくりするほどですが、サイズが大きいからか、この重さにはさほど違和感も無く、撮っている時もあまり重さを意識することはありませんでした。
長い時間持っていると若干腕に負担がかかるような気もしましたが、それも最初のうちだけでした。もっとも、ここからさらに500g、1kgと重くなるとまた状況も変わってくるとは思います。
肝心の画質については期待が大きかっただけに、最初は若干裏切られたような気がしました。具体的には、購入初期の段階でいくつかの対象を撮り比べた結果、私が所有している中で最も画質のよいコンパクトデジカメDSC-W200と比べ、精細感で劣ることが多々ありました
決してぶれているわけではなく、ピントもしっかりと合わせ、精細な絵を得るためにα350の方をしっかりと絞っての比較も行ったのですが、この傾向は変わりませんでした。高倍率ズームレンズを選んでしまったからか…と、一瞬青ざめました。
しかし、さすがに高感度に関してはセンサーサイズが大きいこともあってかα350の方が圧倒的に良く、DSC-W200ではISO400程度から目立ち始めていたカラーノイズもα350ではほとんど気になりません。またフラッシュの出力が大きいのか、フラッシュ撮影の仕上がりはずっとよく、積極的にフラッシュ撮影をしたくなります。
デジタル一眼レフを買った動機のひとつに、ボケを生かした写真を撮りたいというのもありました。私と同じようにこの理由でデジタル一眼レフに乗り換える人は少なくないと思います。しかし、これも室内で子供などを撮ったりする分には、少なくとも付属の高倍率ズームレンズでは絞りを開放にしても若干ボケるかな、くらいで、そんなに劇的にボケてくれるものでもありません。デジタル一眼レフの作例では明るい短焦点レンズで撮影したものも多く、そういう写真が特徴的で記憶に残りやすいため、一眼レフを使えば何でもかんでもぼかした撮影ができるような錯覚を刷り込まれていたのかもしれません。
広い撮影範囲をカバーする高倍率ズームレンズですが、今やコンパクトデジカメでは当たり前のマクロ撮影ができないのも気になります。付属のレンズの最大撮影倍率は0.27倍。小さい花などは画面いっぱいには写せません。
レンズ交換式なんだからマクロレンズを使え、と言われるわけですが、コンパクトデジカメを使ってきた身としてはやはりそれでは不便です。
しかしこれに関しては、α350のライブビュー時に有効になる2倍までのスマートテレコンバートが活用できました。3.5Mピクセルになりますし、言ってしまえば単なるトリミングではありますが、手軽に2倍までズームできるので、最大撮影倍率で言えば実質0.54倍まで持っていけます。マクロレンズの代わりとまではいかないものの、これでカバーできるケースもありそうです。
そして、オートフォーカスが思いのほか遅いのも予想外でした。これはオートフォーカスアルゴリズムが悪いのではなく、付属の高倍率ズームレンズはオートフォーカスのモーター駆動に、最悪の場合(端から端まで駆動する場合)で約1秒かかるからです。
付属の高倍率ズームレンズは、高倍率故に他のレンズと比べてもオートフォーカスに時間がかかるようです。せっかくライブビューで位相差オートフォーカスが使えても、こればっかりはどうしようもありません。また電源を切る度に無限遠にフォーカスが移動され、電源を入れた直後にはそこからピントを合わせにいくので、電源を入れて近くの被写体を撮り、また電源を切るというような使い方をしているとピントが合うまで毎回1秒かかることになります。これはかなりの遅さです。
一旦ピントが合ってしまえば、2度目以降はそこから合わせにいくため1度目と比べればすぐに合焦するので、とりあえずの対応としてあまりこまめに電源を切らないようにするという手が使えます。最初の1回はコンパクトデジカメのオートフォーカスと比べてもどうなんだろうと思うほどの遅さですが、2度目以降のオートフォーカスはさすがにコンパクトデジカメよりはずっと高速です。
撮影間隔もW200と比べてずっと短い印象で、連続しての撮影では気持ちよくシャッターを切れます。しかし、高速で動く被写体などにピントを合わせようとするとやはり力不足で、そういう使い方をしようとすると結局高倍率ズーム1本で済ませるのは諦めるか、超音波モーター搭載レンズなどが必要になってくるんだろうなぁと思います。
そんなわけで最初の数日間は勝手に大きくなっていた期待と現実とのギャップに悩まされたりもしたわけですが、数日間使ってみてこのカメラに慣れてくると、これまででは撮れなかった写真もいろいろと撮れるようになってきました
まずは当然ながらズームを生かした写真。W200のズームは3倍なのに対し、高倍率ズームレンズキットのレンズは11.1倍。遠くのものを手軽に大きく撮れるのはもちろん、コンパクトデジカメと違い、レンズを一ひねりすれば一気にズームできるので、コンパクトデジカメではズームするのがわずらわしくてほとんどの写真を広角端で撮っていたのに対し、α350では常に様々なズーム域を使って写真を撮るようになりました。
その結果、後から撮った写真を見ると自然とバリエーションが増えていた、ということがありました。また、これまでは子供の写真も広角端で撮ることが多かったため、多少デフォルメされたように写っていることが多かったのですが、ある程度距離を置いてズームして撮ることが増えた結果、より写真が自然になったというのもありました。
解像度はW200の方が良いこともあると書きましたが、色に関しては随分良くなったと思います。第一印象でたまたま解像度の方が気になってしまい、そのせいで色にはあまり目が行っていなかったのですが、W200と比べはっきりとノイズが少なく、滑らかで、実際の見た目よりも安定感のある色で撮ってくれます。ここまで画素数が上がったデジカメにおいて、ぱっと見で綺麗に見えるために重要なのはむしろ色であると実感させられます。
また、期待していたほどボケなかったと書きましたが、それでもコンパクトデジカメと比べたらもちろんよくボケます。絞りを開放にし、ズームさせてもっともボケる条件にしてやることで、このレンズでもそれなりのボケを作ることができます。
それほど背景がボケてくれない標準のズーム域でも、コンパクトデジカメと比べれば背景はボケてくれるわけで、その微妙なボケが被写体を際立たせるのに重要な役割を果たしてくれることもあるわけで、このちょっとした差が重要だったりします。
最後に、ライブビューはやはり便利です。手の届く範囲で自由にカメラを動かしてアングルを決められるメリットは捨てがたいものがあります。というより、コンパクトデジカメから乗り換える人間にとってみれば、できて当たり前なのです。それに加え、ライブビューにも関わらずオートフォーカスはこれまでよりずっと早く、ずっとすばやいシャッターが切れる。これは便利です。
一方、ファインダーもコンパクトデジカメのそれとはまったく違い使ってみると意外と便利です。特に明るすぎる場所では液晶が見づらく、逆に見やすくなるファインダーを使いたくなります。α350のファインダーはあらゆるデジタル一眼レフの中でも見にくいそうですが、ファインダーは液晶と比べるとレスポンスが良く、小さいながらも綺麗なのは(CCD、液晶でAD/DAされたものではなく、撮像素子に当たる光がそのまま見えるのは)魅力的です。
液晶のほうが最終的に撮影される絵がイメージしやすいので基本的にライブビューを使用していますが、ファインダーも積極的に使っていきたいと思わせてくれます。
以下のページに、花などの写真数点+グアム旅行で撮った写真を載せておきます。すべてα350高倍率ズームレンズキットのみで撮影しています。画像サイズはM(7.7M)が基本で、一部スマートテレコンバート使用で3.5Mのものもあります。サムネイルをクリックすると元画像を表示します。
http://www.frieve.com/~frieve-a/photo/20080713/index.html
画像の一括ダウンロードはこちら(zip、389MB)
ダウンロード
期待が大きかった分最初はがっかりすることもありましたが、結果としてはより綺麗で、より幅広い写真を撮れるようにしたいという目的は、α350を導入することで十分果たせたのではないかと思います。