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第1章 「壁」(前編)
05年08月XX日
繊維壁。
その言葉を聞いてピンとくる人は少ないかもしれないが、実際に見れば、いわゆる普通の古い室内壁である。
紛らわしいが、砂壁とは異なる。
繊維壁は紙っぽく、たまにキラキラ光る繊維が混ぜ込まれているのが特徴だ。
どうやら、この「キラキラ光る」というのが当時のナウい特徴であり、強引に高級感を出す手法だったに違いない。
だが所詮「紙」なので、時間の経過と共に茶色く変色してしまう。まるでワラ半紙のプリントのように。
売主のお婆さんの話によると、「自分で何回か塗り替えた」そうだ。
しかし、既にすっかり変色してしまっており、次の塗り替え時が「今」という状況だった。
で、早速挑戦することにした。
調べてみたら、繊維壁は素人でも簡単に塗り替えることができるそうである。
さすが繊維壁。自分の家の壁を自分で塗り直すことができる・・・、古き良き時代だ。
調査の結果、繊維壁の材料はホームセンターで普通に売られているそうである。
早速、意気揚々とホームセンターに向かう。売り場にたくさん並べられた繊維壁たちの姿を思い浮かべながら・・・。
どこ?
どこだ?
たくさん並んでいる繊維壁君は?
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あった。
1銘柄4種類。
緑色の繊維壁 ・ ピンクの繊維壁 ・ 茶色の繊維壁 ・ 白い繊維壁
が片隅に置かれていた。そしてすっかりホコリが積もっていた。
選択の余地無く、白の繊維壁をカゴの中に入れた。
緑やピンクに幸せを感じられるほど、私はハイテンションな人種ではない。

白いと言っても、ゴマ塩のように黒い繊維と、忘れてはならないキラキラ光る繊維が混ざっている。
純粋に白色だけの繊維壁が欲しかったのだが、キラキラが入っていなければ、それは繊維壁ではない。
伝統をかたくなに守り続ける、繊維壁。
その名も、若椛(わかば)。三坪分。
早速、古い繊維壁を剥がす作業から開始した。
本当は古い繊維壁の上から新しい繊維壁を塗ることもできるそうなのだが、ここは築37年。
既に3回上塗りされている。
さすがに4回はマズいだろうと考え、ちょっと面倒だが古い繊維壁を剥がすことにした。

霧吹きを使って壁全体を湿らせ、100円ショップで買った金属ベラで強引に剥がす。
剥がす。
はがす。
ハガス。
綺麗に剥がしたら、水で練った繊維壁をコテでヌル。
ぬる。
塗る。
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できた。 完成だ。

新しい壁。
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その時、妻はつぶやいた。 (プロジェクトX風)
・・・「墓石だね。」
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| 右から見ても 墓石。 | 下から見ても 墓石。 |
明らかに選択を誤った。
墓石に囲まれた部屋になってしまった。
今では、一日でも早く日焼けする事を祈っている。
今回の部屋は、通称パソコン部屋。
本当はリビングにも同じ繊維壁を塗ろうと考えていたが、計画を変更することにした。
リビングの運命やいかに!?
リビングも墓石になってしまうのか!?
次号に続く!

パソコン部屋 改め 墓石部屋 から庭を望む。

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