EffeTune ルームEQ機能のご紹介
- Yoshiyuki Kobayashi
- 5月9日
- 読了時間: 4分
オーディオにおけるスピーカー・リスニング環境の音響測定や補正は「お金と手間がかかるもの」と思われがちですが、無料の音楽プレイヤー EffeTune に追加された周波数特性測定・音場補正機能を使えば、マイクを挿して指示に従い操作するだけで再生環境をフラット化することができます。本Blogでは、その仕組みと使い方をご紹介します。再現性の高いリスニング環境を手早く整えたい方はぜひお試しください。

Web でもデスクトップでもすぐ使える
EffeTune は完全無料・オープンソースのアプリです。ブラウザ版は以下のリンクから起動でき、デスクトップ版は GitHub からダウンロードしてローカルで動作させることも可能です。 ■ Web版 周波数特性測定機能 https://frieve-a.github.io/effetune/features/measurement/measurement.html
■ デスクトップアプリ版ダウンロード https://github.com/Frieve-A/effetune/releases ■ ソースコード https://github.com/Frieve-A/effetune
特徴
本機能は、測定用マイク(無指向性かつフラットな小口径ダイアフラムコンデンサマイク)とオーディオインターフェイスを用意し、視聴位置を中心に数か所測定するだけで、自動生成されたパラメトリックイコライザ(PEQ)がスピーカー固有の癖や部屋のピーク/ディップを補正します。L/R 個別測定にも対応しているため、左右の定位が一瞬で合い、ボーカルやスネアがセンターに吸い付く感覚を得られます。補正結果はワンクリックでクリップボードへコピーし、そのまま EffeTune のEffect Pipelineへ貼り付けることができます。
使い方
基本的には画面の指示に従って操作していくだけで測定を行うことができますが、以下に具体的な測定の流れを注意点とともにご紹介します。
測定ウィザードの起動:Web版の場合は上記リンクから、デスクトップ版の場合は設定メニューから「周波数応答測定」を選択し、「+新しい測定を開始」ボタンから測定を開始します。
測定に関する設定:まずは測定の名前、マイク入力・スピーカー出力などの測定に関する設定を行います。方チャンネルずつ測定・補正する場合は出力チャンネルを左右どちらかに設定します。
測定レベル調整:テストノイズでマイクゲインを −36 dB〜−6 dB に合わせます。レベルが調整できたら次へをクリックします。
測定:スピーカーから測定用信号が再生され、測定が終わると測定結果の周波数応答が表示されます。測定中マイクはマイクスタンドなどに固定すること、また話し声や物音を立てないよう注意してください。ノイズが混入してしまったなど、やり直したい場合は「やり直し」をクリックします。
複数ポイント測定:視聴位置付近で 6〜21 点ほど測定します。頭を動かす範囲をイメージし、マイクを少しずつ前後左右、上下に移動させながら「保存して別のポイント測定」を繰り返します。十分な数のポイントで測定したら「保存して完了」を選択肢測定を終了します。
補正パラメータの確認:測定が終わると、実測周波数特性カーブと自動生成された PEQ 、補正後の推定周波数特性が重ねて表示されます。バンド数(初期値 5)や補正範囲(例:低域 50 Hz 以上)を調整したら、「EffeTune PEQ をクリップボードにコピー」を押します。
パイプラインへ貼り付け:EffeTuneに戻り、Effect Pipelineにペースト(Ctrl+V)すると補正用 PEQ が追加されます。左右を別々に測定した場合は、同様にしてもう片方のチャンネル補正用PEQも貼り付けてください。
好みに合わせた仕上げ:フラット特性はあくまで基準点です。Tilt EQ や追加の5Band PEQで低域をわずかに持ち上げたり、高域を滑らかにしたりして、好みのバランスに仕上げましょう。
音場補正の効果
補正を適用して ON/OFF を切り替えると、全域で周波数バランスが改善し、左右個別の補正では定位のフォーカスが定まることがおわかりいただけるかと思います。後者は特に左右非対称なスピーカー設置環境、左右の個体差の大きいスピーカーを用いている場合に顕著な効果が期待できます。
まとめ
EffeTune の周波数特性測定・音場補正機能は、測定と再生を一体化することでルーム EQ を驚くほど手軽にしました。フラットな土台を作ったあとに自在な味付けを重ねる――その第一歩として、ぜひご自宅のスピーカーと部屋で試してみてください。特に初めて音場補正を試される方であれば、その効果の大きさに驚かれるのではないかと思います。
詳しい使い方については以下のYouTube動画をご参照ください。 【オーディオ】無料でここまで身近になった周波数特性補正・音場補正
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